詩のブログ

心のままに

おでん会議

お鍋の中で、ぐつぐつと 会議が踊る

だしの中心手羽先が、 

「私がいなければいなければ、美味しいおでんはできません。」と一言

意義あり、牛すじが発言

「私こそがおでんの主役だ」

大根、こんにゃく、卵、厚揚げ、じゃがいもが

それぞれ、我こそが一番の立役者と、

口々に、ぐつぐつ言っている。

何も言わず、ストーブの火は燃えている。

「私がいなければ、あんた達は生のまんまでしょ。」と心の中でつぶやく。

お鍋は皆がそれぞれに、私が私がと言うのに、ほとほと疲れ果てているようだ。

良いころ合いになってきた。

一つまた一つと、人間様の胃袋へ入っていく。

胃袋の中で小さくなったおでんの具たちは、

やっぱり「自分が一番」と言っている。